Check it Out ! 1998バンダイカタログ カトキハジメインタビュー

インタビュアー/古賀学

ザクの奥の深さは伝統芸能

カトキ ザクを10年近く描いてきて最近ようやく「ザクはこうだな」というのが見えてきた(笑)
一同 (笑)
カトキ あの奥の深さは伝統芸能と一緒ですよ。
編集 ザクっていじりがいがありますよね。
古賀 カトキさんのザクは0083のときが最初ですか。
カトキ うん。でも今描いたらもう違う。
古賀 ガンダムも違う?
カトキ ガンダムも今描いたら違うね。みんなそうだと思うけど。
古賀 デザイナーってみんなそういうもの?
カトキ 考えるのを放棄したデザインに関しては別だけど、ずっと考え続けているものに関しては変化してくるよね。

パーツの抜きまで考えるデザイナー

古賀 立体にするための手ほどきみたいな絵をかかれてますね。
編集 立体になることを前提に作り込んでるんですか。
カトキ ガンプラってあのころ(80年代前半)まだ、成長途中だったからのどかだったんだけど、現在のようにロボットプラモがバンダイ流に標準化されるとパーツの抜きとか考えてデザインすることがある。たぶん、今のデザイナーなら、できる人は少なくないと思うんです。図面屋さんに近いような。変形も考えなくてはいけないし。頭の中では変形するんだけど実際にはムリとか。紙じゃつくれるんだけどプラではつくれないとか。立体に表現できないカタチもあって。GP-01なんかはまさにそういうもののカタマリで。ヤリガイはありますけど。

MGシリーズはカトキ版ではない

古賀 デザイナーとしてリファインに興味があるモビルスーツは?
カトキ ザクなんかに比べるとMk-IIはZに手を加える部分は少ない。そういう意味ではファーストかな? Mk-IIは変形がないし。でも、Zは変形があるが故にリファインしなくちゃいけない部分が出てくるけど……。
古賀 MGのGP-01はカトキ版というよりも、みんなのイメージを優先したんですか。
カトキ なるべくね。どれもそうなんですけど、カトキ版にしようという気はない。だけどつい、出ちゃう場合もありますね。無くそうとはしているんだけど。

エキスパートぞろいのMGスタッフ

カトキ バンダイとMGの仕事をして思ったのは、作っている人たちがスペシャリストということ。抜けない部分をどう抜くかみたいな話を一日打ち合わせている。すごい密度ですよ。で、本当に毎回商品がよくなっていくんです。工夫をこらしていこうという前向きさがよく見える。それは今もつづいていて……。接着剤をつかわなくていいなんてことを始めた努力はすごいことです。毎回新商品が出る度に、ちゃんとつきあってくれるガンダマーの人たちは、バンダイの飽くなき技術革新の追及を体験しているわけで。巣組みでもいいから作っている人は、今年はどうなるんだろうという楽しみを味わえると思うんです。これはドラマチックです。
古賀 今年のガンプラは……っていう(笑)。
カトキ 大河ドラマといっしょで、毎回特撮がすごくなるように、やっぱりスペシャリストは飽くなき追及をしますよ。そういう意味では5年後、10年後に今の状況は刺激的な時代だったと思えるのでは(笑)。