村上隆展トークセッション「日本、物語、リアリズム」ゲスト富野由悠季 メモ

行ってきましたので、取り急ぎG-レコ劇場版についての部分をメモ。他の部分も面白いのでいずれ。

富野 (五百羅漢図の)現物見せてもらって、こちらも現場の人間ですから。まだこれじゃダメだよね、もう少し手を加えられるところあるじゃないか、そういう意味での手抜きってのもかなりあるし。技術論的にも「うわー、しょうがないからこうなっちゃってるな」っていうのも見えるんで。もうちょっと手を入れてもらって完成したものに追い込んで欲しいというのが本当とこですが、そういうのは考えてないわけ?
村上 (笑)。そんな事言ったらGのレコンギスタもそうじゃないですか(会場爆笑)? 言わせていただきますけど。
富野 だから、Gのレコンギスタは当然そういう意識がありますので、これは本当はこういう場所では言ってはいけない事なんですけども、深夜に子供向けのテレビ番組をオンエアして馬鹿野郎じゃねぇか。ホントに怒り狂ってます。実際にそういう状況で作らされてるテレビは作品のレベルじゃない。作り直すんじゃなくこれをベースに綺麗にする、昔風の言い方をすればフィルムにする。
(中略)
富野 G-レコに関して映画版として、言ってしまえば綺麗にしておきたいという部分があります。理由としてどういう事かと言うと、今の録画事情を考えると深夜に録画したものを日中に子供に見せるという方法もあるじゃないのかという事はあるんですが、やっぱりそうではなく、もうちょっと一般的に見せられる形態にしておいた方が良いだろうなという作業と同時に、テレビ版でやったものが言ってしまえば試し撮りみたいなもので。作品化するためにはもうひとつ手を加えなくちゃいけない。そういうレベルに入ってるんでその作業を現在進めてます。皆さん方に見てくださいなんて言ってません。12歳までの人に見せたい(会場笑)! という風に思ってます。
(中略)
村上 終盤結構メカ戦が多い状態で、最後ハッピーエンドなんだか良く分からない状態。
富野 恨む様にハッピーエンドにしている。
村上 あれは僕的に見ると、普通のお客さん的に見ると「なんじゃこりゃ」なんだけど、作家側から見るともしかしたらすごい遠くに石を投げようとして、投げてる最中なんだなと。映画を作ると言われてるのは、着地点を(制作を)やってないからお前ら分からないだろうから、劇場版見てくれれば石を投げどころ分かるから見てね、っていう事かなと思ったりしたんですよね。
富野 ……全くそうです。G-レコの場合にそういう風に言えるのは、どういう風にメカ戦を入れようが、オンエアする2年前にシナリオが決まってたんです。
(中略)
村上 今はG-レコの劇場版というのを、新しいプロジェクトといかやってらっしゃる?
富野 ……結果は勝ち取るしかないからやるしかない。実際に今、1本目、2本目を始めてて。2本目から3本目、とんでもない事が起こってて。根本的にこれはできないかもしれないって様なバリアが見つかるわけ。ほんとこれどうしようかと思って。こうなったら死んだ方が楽だなと思って、っていう風なくらいに今、ちょっと辛い、じいちゃん(会場笑)。
村上 大変ただのファンになって聞いてますけどね(笑)。なるほどね。でもある種、壁というか問題がでてきた。それを乗り越えていく時に新しい発見に出会える可能性が高いという事ですよね?
富野 ……今回はそれがちょっと見つかりそうにないんで(苦笑)。ややヤバいなと。だからこそこういう風にお会いして新しい血をいただけたらなと思って今日ここにお邪魔させていただいている訳で。

G-レコ劇場版は少なくとも3部以上の構成であると。作業はおそらくまだコンテの事でしょう。
当日は痛み止めを飲みつつという事でした。坐骨神経痛を治してからでどうぞ。それで公開が遅れても当たり前だよなぁ?