大晦日だよ!ガンチャン年越しスペシャル 富野由悠季監督インタビュー
アーカイブされないということで文字起こししました。
年始の挨拶
富野 令和がようやく2年になりました。この一年もまた40周年以後の次の135年に向かって皆で頑張っていきましょう。
2019年の振り返り
富野 僕はあまり意識してなかったのですが、機動戦士ガンダム40周年の年だったということと、ニューヨーク市からGUNDAM DAYという日を11/25にいただきました。ニューヨーク市議会が認めてるんですよ。個人的なものじゃないんです。ようやく一般的に認知され始めてきたなという感じがする。だけどまだニューヨーク市だけだから。ワールドワイドにGUNDAM DAYを設置してくれない限り、安心はできません。実を言うとやはり東京でとか日本で思ってるガンダムファンと皮膚感が違うんです。とても素直です。子供っぽいんです、まだ。子供心があったおかげでGのレコンギスタの上映をした後の反応、拍手の仕方が日本と全然違う。子供っぽい、無邪気、素直。単純に「面白い」って言ってくれる。新しいファン層なり新しい世代とコンタクトを取りたいと思ってるから。ものを作るとか表現をするということはそういうことができるわけ。歳を取ってると自分自身が若返ることができると実感できる。特にこの一年、映画化の作業を始めていって、本当にできる様になって自分でもびっくりしてます。だから逆に言うとこまってることもある。悔しいけどやっぱり劣化していく経験を今確実にしているから。ちょっと悔しいなと思ってます。だから新しい次の世代がそれをきちんと引き受けて、こういうものなんだよね、つまりGレコでやったことはこういうことなんだから、ということを受け継いでくれる人が出てくれば良いなとか。それからガンダムが戦記ものなら戦記ものとしてこれ以後、ビジネスになるためのスタイルとしてどうなのか、ということで言うとスターウォーズでもなければかつてのガンダムでもないもっと違うスタイルってものを開発してほしい。それができるのがこういう映像作品でもあるし、小説でも舞台でも良いんだけど、そういうものを作っていけるわけだから。一番大事なことがあるのは、一番古いガンダム的なものに囚われてて良いのか? みたいなことは絶えず思う様にしてほしい。僕は既にGのレコンギスタでやってるから、Gのレコンギスタを参考にしてくれ、そういう言い方もできるし。自分でもまさかこういう話し方になるとは思わなかったんだけども、そういう意味ではじいちゃん頑張ってるなって自分でも話してて感心してる(笑)。(50周年に向けての希望が)Gレコではっきりしてるので。2、30年はGレコで保つなと思ってます。つまり30年くらいのスパンのガイドラインをGレコの中に封じ込めたつもりだから。
劇場版Gレコ2について
富野 Gのレコンギスタの2部がじゃあどういうものなの?って言うと、2部で特別なものはありません。環境問題の話は5部までひっくるめての大テーマとして取り上げてるものだから。2部で言えるかというと全く言えないです。言えないんだけども、1部と同じ様に……うーん。メカアニメとしてこんなようなものもあるんだよ、と楽しさだけは間違いなくあるから、そういう意味では観ておいて損はないんじゃないですか、という言い方しかできません。僕はアニメってそれで良いと思ってるからそうしてます。
劇場版テーマソングについて
富野 ドリカムらしい曲なんだけども、かなりこれいくかなと思えてる。フフフ。仕上がりになってる気がする。ファンとしては。劇場で聴いてやって下さい。ただ、ひとつだけ嫌なことやってます。フルバージョンは使いません。全部聴きたかったらCD買ってね(笑)。ただね、すごい混ざった。かなりね、スルスルスルスル~、全く分からなくてBGMがずーっと。そしてなんでここでいきなり(吉田)美和さんのボーカルが入ってるのと。さっきからずーっとイントロながれてたじゃないですか、という構成になっている。
今更言う気はありません。「Gのレコンギスタ観て」とか。「ガンダム40周年以後の135年を見てくれ」とは言いません。135年生きられる人はいないわけですから。ただ、作品というのは我々以上に長生きするんですよね。上手でしょ(笑)。