俳句生活 一冊まるごと 俳句甲子園 一句鑑賞の富野分メモ

快い率直さ

風船よ私の空を追い越して


おおらかである。賢しさがない。それでいて、認められる含意がある。自分が見ているだけの空、想像できるだけの空を追い越していける風船は、自分を超えるなにものかを引き出してくれるのかもしれない。そうではなく、まだ見ぬ明日、希望かもしれないと願う。そのようなものをとりあえずの景色にとらわれることなく、詠んでみせた。それが良い。
第五回大会に上がった全体の句を読むと、いいなぁと思う反面、勉学中であるという感触がただよい、気恥ずかしくもあった。したがって、これは相対的な評価でもある。あるグループの癖に囚われた作りとか、作為の表出というものが散見されるなか、この率直さは快いということである。

詠まれた方の名前は出して良いのか迷ったのでとりあえず伏せてます。