NHK文化センター大阪教室:這い上がるために(アニメーション監督 富野由悠季)

運良く友人が出席していたのでメモをもらい、話を聞きました。
Ustの岡田斗司夫のひとり夜話ex特別編 富野由悠季を語る1以外の内容をピックアップ。

  • まさか会場がビジネスビルだとは思わなかった。極めて場違いな所で場違いな話をしなくてはいけない。NHKのカルチャー教室なので、なるべく「カルチャー」っぽく、アニメの話はしない(つもりだった)。
  • 入れ物のハコと皆さんのギャップをどう埋めればいいか困ってる。でも今日ほどのギャップはなかった。
  • 今日はあんたたちに来てもらうと困るんだよ。岡田みたいなのも潜んでるし…。こんな困った事はない…。
  • 北京大学の講演に来た子は、日本のと違ってかわいい女の子が多いのが謎。
  • バブル以後の日本人は、かなりお目出度い、気楽な民族。鳩山前首相が日中友好を言える国家の気分がある。北京に行ってる間に北朝鮮の砲撃があったが、この時にこの場所でこんな話をしていいのか(岡田氏の言う「サブカルチャーのバブル」としてではない様に思えた)。
  • 少女時代が半年や1年で編成できるわけがない。AKB48が立ち上がって何年経ったか考えて欲しい。3、4年が一つのブロックで、12年でワンサイクル。
  • 中国の今のアニメは、デジタル制作だが我々のアトムの頃の不器用さが見て取れる。それを哂った中国の学生たちに「それを良くするのはお前らだよ」と話たら、そうだよねと理解してくれた。今の日本に通じるかは疑問。
  • 40年業界で働いたことで、嫌でも「時代の波」が見える。そうした時に、日本という国が民主党政権でぼんやりとするのは嫌だ。少女時代がポンと出てきてぐうの音も出ない文化も同じではないのか。総論として迎え撃てるだけのキャパを持っていない。現代を生きる皆さんに、そういう方向性を見つけていただきたい。
  • 中国の10年後の脅威をアニメ業界で御禿に指摘する人がだれもいない。
  • アニメ業界には出来ればいろいろな経験をして、転職して入った方が望ましい。自衛隊、警察関係、海外駐在員、在中大使館職員、ゲイバーの店員など。
  • 今の女児向けアニメ(おそらくプリキュアを指していた)には、女性の目線がハッキリ入ったものがあって良いんじゃないか。8、9歳の女児の理解力に適したスピード感なのか。速過ぎるのではないか。
  • 本広監督のサンプリングの話は正直ショックだった…。ビジネスとしてはあり。ただ日本中がそれをしていて良いのか。5本に1本はオリジナルで勝負しなければならない。
  • 子供は話の真偽を嗅ぎ分けられる。
  • 進行時代は仕上げのお姉さん方と背景マンが怖かった。一人一人仕事をしてもらう様に説得した事が以後役に立った。
  • 「テレビまんが」について。アトムの話をしている最中に、画が動いていないからこそアニメではなく、「テレビまんが」の字が表しているそのものであったことに今日ようやく気づいた。
  • 人を動かすものは、物を語る事であり、その才能は稀有なものである。
  • 宮崎さんの原画は線が綺麗ではない(そこからLOの話へ)。
  • 公共の電波に載せるに相応しい内容で作品は作らなくてはならない(トリトンの話の際に)。
  • 批評家は世界名作100選を観る際には役に立つがクリエイターではない。
  • 10人中9人が良いというものは大抵良いので観るべき。ただ、新しすぎるのはダメ。例えばアバターとか。
  • 2年前に「警察日記」を観たら思いのほか良かった。
  • 時間がなく質問は一つのみ。第三次世界大戦はありうるか?
  • 世界人口は明治維新ごろの6億くらいが適切。それまではちゃんと生活できていたから。
  • 最後の話は下記スピリッツのラストとほぼ同じ。有限の21世紀で通用するロジックはまだ見つかっていない。そのロジックを見つけるために新しい神話を創らなくてはならない、として、これまでの神話が創られる前と現在の作品が氾濫している状況の類似性を指摘。画は元をたどれば所詮は便所の落書きなんだから、反吐を吐き続けるしかない。そのロジックを見つけられるのがニュータイプである、として講演終わり。