「ガンダム Gのレコンギスタ」第1話「謎のモビルスーツ」冒頭10分無料配信富野メッセージ

冒頭

原作、総監督、そして現場でお邪魔させていただいてもらっている富野由悠季です。
これからご覧になる「Gのレコンギスタ」嫌でも続きを観たくなります。
(冒頭10分)

タイトルについて

日本語で言うと、「復刻」とか「再生」、「回帰」という言い方で置き換えてはいる。タイトルとしてちょっと弱いなという印象がある。これは芸能人的感覚なんですよ。それがありまして。「嫌だなぁ。濁点を入れたいな」ということで、結局「レコンギスタ」に落ち着きました。
もう一つ、タイトルを考える上で重要なのは「ン」という字が入っていないといけないんです。これも入っていないと外れますので。となった瞬間に、言葉の意味がなくなって、ただの記号になった、という感じもあるので、タイトルとしては良いと思っています。

物語の内容について

Gのレコンギスタ」の時代というのは、皆さん方が思ってらっしゃるガンダムワールドの宇宙世紀というのがあります。それの千数百年後か、二千数百年後か、二千年後か判りませんが、その様な時代です。つまりもう一度人類が復活をしてきた、というところでの物語という風に作っています。そして主人公アイーダとベルリの物語という風にしていますが、物語というよりも基本的に冒険話という風に思っています。ですから、次々と新しい場所に行って、悪い敵をやっつけるんですけど、嘘です(一同笑)。良い敵もやっつけるかもしれない。かなりワクワクする話になっています。主人公のベルリ、アイーダもそういう敵というものがどういうものかも分かってないんだけども、そういう事が皆、自分たちの良い経験として積み重なっていって、最終回の話に持っていく様な、うん、冒険話になっています。
年寄の言い草で言えば、若い奴に負けたくないという言い方が一番正しいと思っています。

作品に対する意気込み・想い

この10年20年くらいのアニメの状況というのを見ていると、「癒し系」という様なものとか、所謂「女子系」みたいものとかがかなり勢力を伸ばしているというのがちょっと偏ってるんじゃないのかとも思っています。そういう意味では元々アニメにあったもので、こういう作品があるんだよ、という事を見せていきたいなという事で、ガンダムシリーズの一環であっても良いという覚悟もして、かなり毛色の変わったものになってきたと思っています(富野ボードが映る。#16旧レイハントン邸)。
とても新しい作品が出来たと思っているし、新しいという部分が大人の人から見ると「ウッ……」という風に足元掬われる様な感じがあると思われますが、30年前の事を知らない子供達は、「アニメってこうなのか。何よりも面白いんだね」って思えるものが出来たと思っていますので、これは本当にお子達に見てあげていただきたいと思ってます。確実な手応えがありますし、これの企画を立てた奴は偉いという風には思ってます。これは世の大人の人達に言いたいのですがとても大事な事があります。子供の事、孫の事考えたら本気になれます。今の大人達はおそらくそういう目線をあんまり持ってなくて、自分達の暮らしの事が気になってるだろう。それから自分が死んだ時に子供達に安全でありたいと思っている想いしかなくて、いや、子供達の安全を想うなら、自立できる様にすれば良いだけの事なんだ、って事を忘れてる。僕はそういう意味で子供達に自立して欲しいと思うので、大人として歳をとってきた段階までの想いと世の中の事がすごく気になる事がある。例えばそれが解決出来なかった自分が本当に申し訳ないと思っています。子供達に対して。孫達に対して。だから本当に子供達孫達の世代に対して、申し訳ないけどもこういう問題があるから、それは今度君達頑張って解決して欲しい、そういう想いを正確に伝えたいと思った。そういう事を想うのが今こうやって自分を仕事させているんだと思っています。おそらくこの感じ方はそれほど間違った感じ方でないと思えるので、「Gのレコンギスタ」は是非観ていただきたい。と、お願い致します(カメラ目線になる)。